「いつも同じ服を着ている」と言われたとしたら、それは褒め言葉ではなく、「着たきりスズメ」と言われているようでネガティブな感情をもつのが普通です。もし、「同じ服」ではなく、「同じような服」を着ているとしたら……それは計算された服装戦略かもしれません。
「まったく同じ服」と「同じように見える服」の大きな違い
「いつも同じ服」というと、あまり服をもっていない、外見への気づかいがない、と単純に思いがちです。本当にいつも同じスーツやシャツを着っぱなしという人がいれば、確かにその通りです。
ですが、実際のビジネスシーンでは、「同じ服」ではなく、「同じように見える服」をいつも着ている人は多くいます。「同じ服」と「同じように見える服」は、似ているようで大きく違うのです。
ある本(*)にフェイスブック創業者であるマーク・ザッカーバーグの話がありました。彼は毎日、着るものを選ぶといった小さな決断でも、それを繰り返すことでビジネスでの決断力を消耗する。生活の小さな決断を切り捨てたので、彼の日常的な服装はグレーのTシャツとブルージーンズになった、と言っています。
彼の服装は極めてカジュアルですが、同じ服と言われながらも、実際は同じような服であって、全く同じではありません。さまざまな画像を見比べてみるとわかりますが、同じグレーの丸首のTシャツであっても、グレーの色のトーンは微妙に違っていたりします。
色柄のバリエーションに富む必要はなし
過去に日本企業のトップでも、いつも紺の水玉のネクタイをしている人がいました。実際には微妙に違う紺色と水玉の大きさや色が違うネクタイを何本も持っていて、それを使い分けていたのです。
紺の水玉のネクタイは柄が小さいほどフォーマル度が高まり、どこでも通用する代表的な柄です。年齢を重ねて、立場も高くなった人であれば、これを自分の定番にすることで、どこへ行っても恥ずかしくない自分に似合う服装をいつもしていることになります。
楽しみながら、もしくは仕事の義務として、服装選びを毎日のルーティンに入れ込めているならば問題ありません。しかし、服選びに大きな負担を感じるのであれば、自分のトレードマークといえるような色や柄を決めておいて、ザッカーバーグの言う毎日の小さな決断事項を切り捨てるのも、いいかもしれません。
現実的にはなかなか彼のようにはいきませんが、Tシャツとジーパンをスーツとネクタイに置き換えて、自分に似合うものをはっきりさせることが第一です。自信がない人は、色も柄もバリエーションに富む必要はないのです。バラエティーに富んだ装いを数多く持っているよりも、確実に自分に合う、似たようなものが数着あるほうがずっと実用的なのです。
(*『PEAK PERFORMANCE』ダイヤモンド社より)
Check Point
1.服選びは楽しみ?負担?
次の日に自分が着ていく服は、誰が、いつ選んでいますか?自分で選んでいる場合は、どの程度負担に感じていますか?
2.「好きなもの」と「似合うもの」は同じ?
人それぞれ違う好みや選びがちな傾向があります。持っているものは、ある程度パターン化するのが一般的。これが本当に自分に似合っていますか?
3.人から見たらどう思うか?
ビジネスでは清潔感やきちんと感は求められるもの。服装も自分が思うように、他の人にも見えているか、第三者の遠慮のないことを聞くことも必要です。