年齢を重ねて、相応の経験を積んできたボス世代。つい最近まで学生だった新入社員と会話に戸惑うという声が聞こえてきます。そんなとき、会話の糸口になるアイテムがあると良いコミュニケーションにつながっていくこともあります。
ギャップを埋める手段のひとつとして
新入社員を前にすると、遠い昔の自分の姿を重ねることがあるかもしれません。とはいえ、20代前半の若者たちとボス世代には、「ジェネレーションギャップ」や「世代間ギャップ」といわれる、年代による価値観や考え方の違いがあることは否めません。ボス世代のほうがこのギャップに対する気遅れがあるようで、会話の糸口をなかなか見つけられない、何を話していいのか戸惑うといった声が聞こえてきます。
一つの打開策として、「ストーリーのあるアイテムをもつこと」。ここでいう「ストーリー」とは、ご自身の経験や思い入れ、という意味。社会人になってからの経験は、良いこともあれば苦労したことや失敗談など様々なことがあるでしょう。ペン1本、腕時計ひとつでいいので、見せながら人に話せるアイテムがあれば、それが会話の糸口となり、効果的なコミュニケーションを生み出すこともできます。
ネクタイや小物に込められたストーリー
例えば、思い入れのあるネクタイについて。ある経営者は、絶対にまとめたい商談のときに決まって締めるのは、ある紺色のネクタイ。過去の経験から、これを締めている日の成約率が非常に高いため、大事な日の勝負ネクタイになっています。「ちょっとくたびれ気味」と自分でも感じていて、「これに代わるものがあれば、いくら出してもいい!」とまで言い切るほどです。
あるブランドネクタイがお嬢さん誕生の記念の1本という経営層の人もいます。卵から生まれたひよこや女の子をイメージするピンク系と個性的な色柄ですが、それを選んだ理由は相手に印象深く残るようです。
こうした方々の思い入れは、間違いなく相手に伝わり、その後、良好な関係が築ける場合が多いということです。
文房具や小物にこだわる方も多くいます。愛用している万年筆は高級ブランドではなく、パーツを一つひとつ選べるオーダー専門店で購入している人、エコ意識の高まりから折りたたみ式で持ち運びできる高級素材のお箸を使っているという人。こうした話を活き活きと説明してくれる表情は、仕事の顔とは違う一面を見せてくれる気がします。
また、「伝説の営業マン」と呼ばれた人の話ですが、その頃の激務を物語っていたのがたまるばかりの飛行機のマイレージ。もちろん会社の許可あってのことですが、ポイントと交換した数々のアイテムは、その頃の移動距離の大きさの象徴のようで、若手からは「おお~」という感嘆ともいえる声が出ていたこともありました。
経験を積むことは、ストーリーのあるアイテムを少しずつ増やしていくこと。それは一つのコミュニケーション手段というだけでなく、職業人としての自分の歴史を“見える化”したともいえますね。語れるアイテム、増やしていきたいですね。
Check Point
1.ビジネスアイテムの整理整頓
普段あまり使わない、しまい込んだままのアイテムを整理整頓。ご自身の目でチェックすることが大切です。
2.人に話せるストーリーのあるアイテム
自分の持ち物のなかで、人に話せるストーリーがあるものはどれか。記念日にもらったものや買ったものでも十分ストーリーになります。
3.お手入れが必要なものに手をかける
どんなアイテムでも長く使うためには、お手入れが重要。文具や時計などは専門店に頼む、普段からひと手間をかけることが必要です。