「空気を読む」という言葉もありますが、言葉にしなくても相手の心の内が表情に表れることがあります。人の上に立つボスは、部下の言葉にできない思いを、一瞬の表情から察することも必要。表情で本音を知るポイントについてみてみます。
ボスが知るべき表情変化のポイント
人間の表情は、1万種類以上あるといわれます。
その内、「幸福」「軽蔑」「嫌悪」「怒り」「悲しみ」「恐怖」を感じたときの7種類の表情は、年齢、性別、文化の違いなどを超えた万国共通であることが研究によってわかっています。
ビジネスでは、こうした相手の表情に敏感に反応し、適切に対応することで、営業成績の向上やプレゼンの成功に役立てることができます。
オンラインでのやりとりが増えたことで、視線が合わず表情が読みにくくなるなど、表情変化にさらに気をつける必要も出てきました。
ボスであるならば、部下とコミュニケーションをする上で、相手が言葉にしない本音を知る大きなヒントとして、表情変化を使うことができると良いでしょう。
さて、「微表情」という言葉を聞いたことがありますか?
「微表情」とは一瞬表れて消え去る顔の動きのことをいい、これを読み取る専門家もいます。
正確に読み取るには専門の勉強が必要ですが、ポイントを知っておくと、部下とのやり取りのなかで役立てることができます。
表情に表れた違和感を見逃さない
これまで部下の突然の離職や、体調不良などを経験したことはありませんか?
「もっと○○していたら」「あのとき、○○だったのかもしれない」といった後悔をする前に、日頃から、部下のストレスの度合いや不安に思っている事柄について知っておくことが必要です。
ちょっとした言葉がけをするだけでも、部下のストレスの度合いや気分は大きく違ってきます。
部下と話していて、「言葉と表情が一致していない」「話し終わった後に違った表情になった」「無理のある笑い方をしている」「左右対称でなく片方の口元だけが上がる笑い方をしている」など、気になることはありませんか?
これらは、ストレスや不安が表情に表れたわかりやすい例です。
こうした場合は、相手によって、何か心配なことがあるのかダイレクトに聞いてみる、間接的に周りの人に様子を聞いたり、サポートの仕方を考えたりするなど、ボスとして何らかの動きが求められます。
忙しい毎日のなかで、ボスのちょっとした気づかいは、想像以上に大きな効果があります。リアルで会う機会が少なくなった今こそ、その違和感を見逃さず、適切に対応することが大切です。
Check Point
1.鏡で自分の表情変化を見る
「嫌悪」や「悲しみ」などわかりやすい例で、自分の表情を鏡の前で確認してみましょう。万国共通といわれる表情変化はなかなか興味深いものです。
2.言葉と表情のギャップ
部下とのやり取りのなかで、言葉と表情の違和感には敏感になってください。大丈夫でないときでも、「大丈夫です」と言うもの。そのときの不安げな表情を見逃さないようにします。
3.言葉がけを大切にする
部下にとって、上司からの言葉は良くも悪くも大きな影響があります。いつでも良い言葉がけを意識したいですね。