ビジネスシーンの装いは、カジュアル化が進む中で、個人の思い込みと感覚で、常識、非常識を判断することは少なくありません。「みんな着ているから」「無難だから」という理由で、スーツも<黒>を選んでいる人は、要注意!です。
礼儀としての「黒い服装」に対する思い込み
今の時代、就職活動で着ているスーツは、ほぼ100%<黒>。
コロナ禍で面接や会社説明会がオンラインで行われることが多くなりました。それでも就職活動用として、店頭で売られている商品、レンタルスーツとして展示される商品のスーツの色は変わらず、ほぼ<黒>です。
それが大学の入学式まで黒を着るのが当たり前となっているといいます。
気分も華やぐ晴れの場所でも、指定されてもいないのに、制服のように皆が<黒>を着てくることに不思議な感覚を覚えます。
お祝いの席に<黒>を着る今の日本の習慣は、世界的に見ると一般的ではありません。
海外出張をされる方へは、
「欧米では<黒>は喪に服す色とされているため、敢えて黒のスーツを着ることは控えるようにしましょう」と伝えています。
そのため、日常的にもボスの立場にある人には、黒のスーツをおすすめすることはほぼありません。
就活用スーツを見ると、<黒>を着るのが礼儀である、それを着ない人が非常識、という学生の思い込みが感じられます。
学生ばかりでなく、採用する側の企業にも少なからず、そんな風潮があるようにも感じます。
柔軟性、独立心と言いながら評価しているのは?
ここで気付いてほしいのは、<黒>を着ないから、常識がない、協調性がない、といった評価につなげるのは間違いということ。
採用関連の方々に現状を聞くと、ほぼ皆さんから「同じ服装であること」に対する違和感と否定的なコメントが出てきます。
その一方で、実際に<黒>でないスーツの学生が面接に来た場合、それを受け入れられていますか?
「派手だ」「自己主張が強そうだ」という発想や「きちんとしていない」といった思いが少しも出てこないと言い切れますか?
ご自分が、面接する場合、「臨機応変で柔軟性のある人材」とか、「独立心がある人材」と言いながら、黒いスーツを着ているとどこかで安心していませんか?
<黒>を着ることが、礼儀や人格の良し悪しにつながるわけでないことを忘れないようにしましょう。
面接を申し込んでくる候補者達の服装のカジュアル化について、自分の企業がどういうスタンスでいるのか、それをはっきり認識しておくことも必要です。
Check Point
1.黒のスーツについて
手持ちのスーツが「黒」ばかりという方がいますが、本来は喪に服す色であり、その一方でトレンド色が濃い色であることを知っておきましょう。
2.人の装いを見るときのご自身の感覚
誰でも相手の装いの良し悪しを自分なりの感覚で判断しています。自分自身は、相手のどこをどう見て、良し悪しを判断しているか?それを確認してみましょう。
3.クールビズの時期の装いのライン引き
どこまで良くて、どこからNGなのか? 業界や客層に合わせて、無理のない装いのライン引きを決めておき、それを服装規定として明文化しておくのが理想です。