ビジネスでは、TPOと同じように、相手に合わせることが重要です。「自分は人と同じなのは好きでない」「個性が大事だと思う」と言う方もいますが、カン違いしてほしくない、ビジネスでの「相手に合わせる」の意味を改めて確認してみましょう。
大勢の「人」と目的となる「相手」の違い
コンサルティングでは、「相手に合わせる」ことはとても重要とお伝えしています。
この「相手」とは、1:1、つまり自分と目の前の相手のこと。
その一方で、人に合わせるの「人」とは、複数というよりも大勢をイメージしています。
ここで合わせる相手は「目の前の1人」であり、その人に合わせる、という意味です。
1対1として考えるのですから、大勢の中に埋没してしまう「人と同じ」、埋没しないために「個性を出す」とは目的が違っています。
例えば、社外での会食の席。
若い従業員のサービスに対して、社長という立場でも、目下の人にも「ありがとうございます」と敬語を自然に使う方、ちょっとしたことでも、その度に「ありがとう」と微笑みを浮かべてお礼を言う方、「ありがとう!」と大きな声でパワフルに言う方など、そのお礼の伝え方も人それぞれです。
これは1対1でありながら、相手ではなく「人」に対しての対応となります。
ですが、そのお店で会食をする「相手」。
この方に対しては、「合わせる」ことが必要になります。
この場合、会食するのは、大勢いる「人」ではなくて、目的となる「相手」であり、この「相手」に合わせることが必要となります。
相手にとって、好ましく、心地良いことが重要
心理学では、「類似性の法則」といいますが、人間は自分と似た人、近い人に対して好感を抱きやすいとされています。
確かに、出身地をはじめ、趣味や嗜好などが同じということで会話が広がっていった経験は誰でもあるのではないでしょうか。
静かな雰囲気で落ち着いた会話を好む「相手」に、自分の個性はエネルギッシュなことだと思い、勢い勇んで猛烈に話し続ける、これでは「相手」に合わせていません。
他者を見ておらず、自己都合、自己認識だけで、その良いと思う価値観を相手に押し付けていることになります。
「相手に合わせる」とは、目の前の方を唯一無二の存在として、向き合う「相手」とすることです。
服装をはじめとした外見も、話し方や声のトーン、立ち振る舞い、食べ方や飲み方など、その「相手」に好ましく、心地良く思ってもらうことなのです。
Check Point
1.あなたにとって大事な「相手」は誰か?
自分が合わせるべき相手は誰でしょうか?商談を進めるとき、意思決定者を重要視するのと同じ感覚で、ご自身の中ではっきりしておきましょう。
2.その「相手」を十分に知ることから
自分をよく知っていてくれれば、それが安心感となり、やがて信頼関係へとつながっていきます。相手の好みや経歴などリサーチすることも必要です。
3.自分に無理のないやり方やスタイル
相手に合わせることは重要ですが、無理をして自分に違和感があれば、それが相手に伝わってしまいます。意識しつつ、無理のなりスタイルを見つけましょう。