これまで仕事で関わった人が、新聞や雑誌、メディアに登場している姿を目にする機会がよくあります。こうした「選ばれた人」を見ていると、若手のときから目立っていたり、並外れた高い評価を得ていた人ばかりではないことに気付かされます。
周りの声に惑わされない絶対的な「鑑識眼」
後継者として「抜擢される人」「選ばれる人」というと、仕事の能力に加えて、根回しが上手く、コミュニケーション力が高い人が思い浮かびます。
でも、実際はそんな人ばかりではないようです。
「選ばれる人」というと、すぐに思い浮かぶある経営者の方がいます。
その方は30代のとき、思いもよらず突然、後継者として指名されたという経験がありました。
10年近く経った今では、地域や業界を超えた経営手腕で広く知られるようになりましたが、指名された当初は、周りから「なぜこの人?」という疑問の声や反発の声が大きく、ご本人も大変な思いをされたようです。
周囲の声に一切惑わされず抜擢した元社長は、当時はワンマンにしか見られず、良い評判ではありませんでしたが、今では
「元社長は本当に見る目があった」
と言われるようになり、大変高い評価を得るようになったと、笑いながら教えてくれました。
必要なのは人と繋がる意識がある人
この方は決して、世渡りや根回しが上手いとは言えない方でしたが、
人の上に立つ立場として、
「聞く耳をもっている」
「自分を客観視できる」
「人とつながる意識が強い」
という点が際立っていたことを元社長は見抜いていたようです。
カリスマ性やリーダーシップが優れた方は他にもいたようですが、それだけが突出していても後継者としてはうまくいきません。
組織の先頭を走る力は必要不可欠ですが、自分の後ろに続いている人への配慮、追いつき並んで走るリーダーの伴走者として育てる意識があることも重要な条件の一つです。
その有無を見極められるかどうかです。
後継者問題に悩む声をよく聞きますが、永続的な企業活動を目指すのであれば、バトンを渡す「次」への配慮が必要になります。
それが次の世代であれ、個人であれ、
「繋がる」「繋げる」「育てる」
意識がある人を選ぶことが重要ではないでしょうか。
選ぶべき人を選ぶことができる「眼」をもつことが、今の時代のトップとしては大事な条件なのでしょう。
Check Point
1.自分の中の評価軸を明確にする
人を評価するとき、重要視するポイントはそれぞれ違います。個人的な考えから自社として考えた場合、重要視するべきポイントは何でしょうか?
2.良い点、悪い点を改めて考える
ご自身を含めて同一業務をしている人を冷静に見てみましょう。人より優れている点、改善したほうがいい点はあるでしょうか?
3.現状で後継者指名をするとしたら?
ご自身のなかで、今、後継者を指名するとしたら、誰を抜擢するか? それを考えてみましょう。敢えて個人名を思い浮かべることで、より現実性が出てきます。